Te Araroa Day 92 Wanaka Holiday Park ~ Fern Burn Hut
※2024年1月の情報です
※1NZD=約90円
【テアラロア92日目】Wanaka ~ Fern Burn Hut
今日明日は天気が不安定だという。昨日長い距離を歩いたからか左足の太ももに少し痛みがあるため、のんびり歩くことに決めた。クイーンズタウンで会う予定の日本人が2人いて、宿泊させてもらう約束をしている。そのため、今回はショートデイ、あるいはゼロデイを取り日程調整も必要で、ハット(山小屋)ライフを楽しむために荷物にはたくさんの食料を詰め込んでいる。
朝6時40分出発と同時に雨が降り出した。レインコートを着て、カッパを羽織る。歩きながらメールやメッセージを返し、雨の中を進んだ。20分ほどで雨は止んだ。道は主にグラベルロード。新しい靴の履き心地は悪くない。ワナカから湖沿いを歩くGlendhu Bay Trackは地味なアップダウンを繰り返しながら、湖のビーチが視界に広がる。ワナカはなんて美しい場所なんだろうと思う。

新しい靴

先のチップがなくなったトレッキングポール
9時40分ごろ、大きなキャンプ場を通り過ぎる。水を補給できる場所があることに気づいたため、それほど水を持ち歩かなくてもいいと思った。私自身は、ホリデーパークからフルで水を持ち運んでいるが。
身体の疲れがじわじわと押し寄せてくる。トレイルに入る分岐も依然としてグラベルロードが続き、足に負担がかかる。車が通るたびに砂埃が舞い、直射日光が強く照りつける。予想以上に暑い。
10時30分、Motatapu Trackの入口に到着した。

Motatapu Track
歩き出してすぐに靴が濡れた。新品なのに、あっという間だった。しょうがない。
なだらかな登山道を進み、橋を渡った後はやや急勾配になり、樹林帯に入る。
天気雨が降ったり止んだりする。日差しが強く、蒸し暑い。ショートデイに慣れていないせいか、早く休んだり歩きを止めることが苦手だ。だからこそ、雨が降れば次のハットに泊まることを決める手助けになるのに、と思っていた。
トレイルを進んでいると、オーバーグローンな植物が邪魔だと感じる瞬間がある。左足の太ももがズキズキする。時間は十分あるので無理をしないように休憩を取りながら進んだ。

写真中央部に小さく写るFern Burn Hut
12時半過ぎ、Fern Burn Hutに到着した。木製のウッドデッキが心地よく、そこに座る逆方向に歩くノースバウンド(NOBO)の二人がいた。自然と自分もその場所に座り込んだ。

大自然の中にあるFern Burn Hut
「なぜ山を歩くの?」と彼女たちが尋ねてきた。その質問に対して、思わず「そこに山があるから」と冗談めかして答えた後、「いい景色を見るためでもあるけれど、苦しみが必要で、それを経験して達成感を得ることもあるんじゃないかな」と言った。思いつきで口にした言葉だったが、確かに間違ってはいない気がした。
例えば自分の場合、歩くことやランニングが特別好きではない。しかし、良い景色を求める過程であればその苦労すら楽しめる。

ノースバウンド(NOBO)の二人
その後、昨日は時間もなかったし疲れて洗濯をし損ねたため、川で手洗いをした。ぼんやりと洗濯をしながら水音を聞いていると、ステファニー(通称ステフ)が現れた。彼女はセクションハイカーであり、次のセクションに進むことができるのに、この場所が気に入ったらしく、ここで一泊することにしたようだった。
「なぜTAを歩くの?」という質問が川を歩いてすっきりした表情の彼女からも飛んできた。私には複雑な理由はなく、「ロングディスタンスハイキングというものをやってみたかったから」と答えた。本当はアメリカを歩くつもりだったが、ビザの問題やタイミングの関係でニュージーランドにしたのだ。
ステフはアルゼンチン出身で、5年前からニュージーランドに住んでいるという。コロナ禍で永住権を取得しやすいタイミングがあり、その頃に取得したそうだ。「アルゼンチンに戻っても住みたくない」と彼女は言う。その背景にはアルゼンチンの経済が悪く問題が多いからだと。友達たちも次々とアルゼンチンを離れているそうだ。
「できることを証明する必要はない」という彼女の言葉が印象に残った。人は何かを達成すると、次に何かを求める。その循環が無限に続いてしまう。マラソン、登山やスイミングもそのようにエスカレートしていく。私は苦手なことだが、ストイックに頑張りすぎるのではなく、自分が快適に感じる範囲でコントロールすることも大切だと感じた。
ステフと話していると、自分自身このテ・アラロアの旅が終わったら、ニュージーランドで働くのかもしれないという心の準備が少しずつできていることに気づいた。もちろんまだ確信ではないが、確実にゴールへ歩んでおり、現実的な距離になってきているからだ。
16時半ごろ、一昨日Stodys Hutでも再会したスコットが現れた。彼は少し休憩して水を補給し、そのまま先へと歩いていった。特に速く歩くわけではないが、長時間コンスタントに歩く姿が印象的だった。彼なら、おそらく100日以内にTAを終えられるだろう。
歩行距離約24キロ