Te Araroa Day 90 Tin Hut ~ Stodys Hut
※2024年1月の情報です
※1NZD=約90円
【テアラロア90日目】Tin Hut ~ Stodys Hut
ハットにいた誰かがガーミンのインリーチで確認した天気予報では、今日は雨が降らないとのことだった。しかし、朝6時ごろは小雨が降ったり止んだりしていた。
7時ごろ、虹が見えた。天気も良くなりそうな予感がした。トーマスが「Melina RidgeはTAのルートの中で一番美しいトラックだ」と誰かが言っていたと教えてくれた。天気も良くなりそうだったので、私もそのルートを歩くことにした。
7時15分に出発。歩き始めてすぐに再び虹が見え、良い一日になるかと思っていたが、標高が上がるにつれ天気は急変し、大雨と強風、さらには雷が鳴り始めた。
嵐がきた。本来ならば、引き返すべきだったがもう数キロ歩いてしまったしこのまま突き進んでしまおうと誤った判断をした。稜線歩きだったため、この状況は非常に危険だった。
雨風が強すぎてあまりスマホを使えず地図の確認が疎かになり間違えて下の別のルートに行ってしまい、引き返そうとしていたところ、後ろからトーマスがやってきた。彼も道を間違えていた。寒すぎるし、道も間違えているので引き返さず、道なき道だが、このまま直登して上のルートに戻ることにした。
上のルートには無事にたどり着けたが嵐はますます強くなり、風と雨、雷で非常に厳しい状況になる。私は途中で突風に吹き飛ばされて転倒し、少し引きずられた。風が強すぎて動けずに耐えるときもあった。
2人ともすでにずぶ濡れでこのままでは低体温症になると防寒具を追加で羽織り、寒さに耐えながら歩いた。特に私はパズルのような複雑なパッキングをしていた自分を恨んだ。
トーマスに「エクストリームシチュエーションだ」というとまさにそのとおりだと笑っていた。
トレッキングポールのカーボンの部分もゴムの部分も冷たすぎて握れなくなり脇に挟んだ。ポケットに忍ばせていたメリノウールの破れた手袋をはめて裾の中に手を引っ込めて歩く。体力のない人だと低体温症になってしまう。
やっとのことで天気が少しずつ良くなり、太陽が顔を出したときは、まさに救われた気持ちだった。余裕も出てきて写真も撮れるようになった。
11時35分にTAルートに合流し、少し休憩。12時に再び出発。
ここから先も険しいルートが続いた。雨が降っていたことを忘れてしまい川沿いを歩くことになった。小川を抜けると川は濁流となっていたので、TAルートに戻る。しかし、どっちみち渡渉をする必要はあった。足元の見えない中の渡渉は最悪でトレッキングポールで足元を確認しながら歩いた。
トレイルも幅は狭く、泥濘み、滑りやすくなっているところがあって何度か滑落しかけ、1度だけゆっくりと崖を5メートルほど滑ったこともあったが、木にしがみついて何とか助かった。
途中でトーマスと再会し、一緒に歩くことにした。彼も滑ったりしながらも、木の枝を杖代わりにしてなんとか進んでいた。アップダウンが続き、靴にかかる負担も大きかった。靴のソールがすり減り、滑りやすくなっていたため、怪我をしないように慎重に進んだ。
16時にジャンクションに到着し、Stodys Hutには17時3分に着いた。幸いにもベッドを確保でき、テントや濡れた装備を乾かすことができた。
その後、トーマスや他のハイカーと再会。スコットからの情報では、Melina Ridgeを後追いしていったクリスティンは危険を感じて引き返したと聞いて安心した。そしてあのMelina Ridgeの嵐は局所的だったらしい。
歩行距離約30キロ、距離の割に非常に疲れた一日だった。